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CESと米国ICT動向 (中)
提供:電経新聞社(2012/02/06)
今年のCESは韓国勢の勢いがよかったが、先進性という側面で見れば、日本勢のほうが優位だったといいたい。
例えばパナソニックは、太陽光パネルや家庭用蓄電システムを展示し、今日的なテーマである「環境にやさしい技術」をアピールした。電気自動車システムの展示も印象的で、来場者の耳目を集めていた。
環境にやさしいという意味では、東芝もスマートメーターやスマートグリッド関連の製品を展示するなど先進技術を披露した。
日本では、東日本大震災以降、環境にやさしく安全性の高い技術にニーズが集まっているが、実は米国でも環境・安全に対する意識が高まっている。というのも昨年は、ミシシッピ川で洪水が発生するなど米国でも災害が多発した。実際、昨年は非常時の避難訓練を全米規模で実施。基本的に州レベルで動く米国において連邦レベルでの取り組みは稀有なことだった。避難訓練では、連絡手段としてのICT活用も検証されたようだ。
いずれにせよ「環境」と「安全」は日米の共通テーマになろうとしている。
話題をCESに戻す。
カシオのブースもおもしろかった。同社はブルートゥースv4・0対応G―Shockウォッチ「GB―6900」を展示。ブルートゥースで腕時計とスマートフォンを連動させ、電話やメールの受信状況を時計で確認できるようにした。フィーチャーフォンは洋服のポケットにしまうことが多く、受信すればバイブレーションで知覚できるが、多くのユーザは大きめのスマートフォンをかばんなどにしまうので、受信が知覚できないことがある。GB―6900はその辺のニーズを汲み取ったソリューションだ。
イタリア企業のBlue Sky srlも腕時計をベースにしたソリューションを出展。それが「I'm Watch」だ。.
腕時計にアンドロイドOSを実装し、ブルートゥースも搭載。スマートフォンと連携し、電話や新着メールを通知したり、ツイッターやフェイスブックのタイムラインも閲覧できる。音楽再生も可能だ。スマートフォン子機としての需要を掘り起こしたいとしている。
いまから数年前、米国ではブルートゥースハンズフリーヘッドセットが大ヒットした。あのころの米国人はだれもがヘッドセットを装着し、手ぶらで歩きながら通話をしていたものだ。
腕時計とスマートフォンの連携サービスもヘッドセットとコンセプトが似ている。身軽さを好む欧米人には好感されるのではないか。
一方、カシオはG―Shockブランドのスマートフォンも出展した。米国での販売は未定だが、防水性を強調するなどG―Shockならではの耐久性を前面に押し出した。
日本では防水ケータイが当たり前のように普及しているが、米国はじめ海外では防水端末の認知度はまだ低い。ただニーズは確実に上がっているようで、関心を示す来場者が多かった。
富士通や東芝も防水端末をはじめ、日本製スマートフォンを強くアピールしていた。
現状、米国では日本メーカのスマートフォンは1つも売られていない。スマートフォンに関して日本メーカの存在感はゼロだ。日本人としてちょっと寂しい気もする。
確かに米国では「スマートフォン=iPhone」という形成だ。なんせiPhone・iPadの人気が高い。「ブラックベリー」を製造するカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)は、業績不振でCEOのジム・バルシリー氏とマイク・ラザリディス氏の2人が辞任したが、ほんの数年前は「スマートフォン=ブラックベリー」といわれていた。米国のスマートフォン市場は競争構造が複雑かつ急進的なので、この市場で出遅れた日本メーカの目にはリスクに映るのだろう。
ただ、スマートフォンは、家電リモコンとしての活用など、今後さらに家電としての特徴を帯びてくる。日本メーカの活躍をぜひ期待したい。
スマートフォンとの兼ね合いで印象的だったのは、LTEを出展する事業者が増えたことだ。今年のCESにはベライゾンも出展し、LTEの特色をアピールしていた。また富士通もLTEに対応したフェムトセル基地局「BroadOne LTE」を展示した。
日本でもLTEが商用化され、スマートフォンブームに乗って普及の兆しを見せているが、米国でもLTEは注目されている。LTEが普及することで、米国においてもモバイルソリューションはさらに活性化するものと思われる。
モバイルソリューションという意味では、モトローラがスマートフォンやタブレット端末を駆使したヘルスケアシステムを大々的に展示した。
日本でもインターネットやモバイルを活用したヘルスケアシステムが耳目集めているが、米国でも動き出している。
一昨年、昨年とスマートフォン、タブレット端末がCESの目玉として大いに集客力を発揮したが、今年はさほど活気を感じなかった。
米国ではスマートフォン、タブレット端末はすでに普及期に入っており、多くの消費者が所有するようになっている。しかも先述したようにiPhone、iPadがダントツで、それ以外には興味がないといった雰囲気だ。
一方、スマートフォン、タブレット端末が普及すれば、その次に来る関心は、それらの端末を使ったソリューションだ。ヘルスケアはそのいい例だろう。
そういう観点からも、今後は、アプリケーションやコンテンツ、サービスが重視される。逆に言えば、どんな端末であろうと、ソリューションがよければ、トップランナーであるiPhone・iPadを打倒できるわけだ。
ちなみに一昨年は、電子書籍元年と叫ばれ、電子書籍端末がCESの会場を席巻したが、現在は見る影もない。アマゾンドットコムが電子書籍専用端末「キンドル」向けにソーラーパネル付きカバーを発表したくらいで、それ以外は話題にすら上らなかった。
(北島圭)
