広帯域移動無線アクセスシステムについて
総務省から、5月15日に広帯域移動無線アクセスシステム (BWA:Broadband
Wireless Access)の免許方針案が公開されました。これに対す る関係者からの意見提出を6月15日に締め切り、これを踏まえ、7月の電波管理審議委員会に諮問し、適当と認められれば無線免許の申請を受け付け、今年の秋には事業者を決定する予定です。
この「広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)について報告いたします。
1.「広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)」とは
日本では、高速インターネットに対する需要が高く、光ファイバやDSL等の大容量
の「ブロードバンドサービス」が普及しつつあります。これに伴い無線システムに
ついても、現行の第三世代携帯電話の伝送速度を上回るサービスを望む声が高まっています。
このことを踏まえ、総務省では「広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)」に
対し2.5GHz帯への割り当てを行うこととしました。
「広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)」は次のような特徴を持っています。
- 無線によるインターネットへの常時接続
- 自宅や職場から持ち出したパソコンを、どこからでもブロードバンド環境で利用可能
- 都市部を中心に広域をカバー
- 中速程度の移動が可能
- 条件不利地域における有線回線の代替として安価に提供 等
2.「広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)」への周波数割り当ての概要
「広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)」の導入を予定している2.5GHz帯に
おいては、隣接システム(移動衛星業務システム)のガードバンドを除くと
2545MHz〜2625MHzの80MHzが割り当て可能な周波数となります。
このうち、2545MHz〜2575MHz及び2595MHz〜2625MHzの30MHzの二つの帯域は全国展開する移動通信へ割り当てられました。
また、2575MHz〜2595MHzの帯域(以下固定系地域バンドという)は、上記の移動通信用のシステムとのガードバンド計10MHzを除いた10MHzの帯域を各地域における固定的な利用へ割り当てられました。
3.「広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)」の技術方式と要求条件
総務省の情報通信審議会において、「広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)」 の技術方式として次の4方式について調査されました。
- IEEE 802.16e-2005(モバイルWiMAX)
- IEEE 802.20(MBTDD Widebannd:広帯域高速移動TDD)
- IEEE 802.20(MBTDD 625k−MC:高速移動TDDで625kHz幅の搬送波を複数本束ねて無線伝送する方式)
- 次世代PHS(高機能・高速PHS)
これら4方式は、審議会が示したBWAシステムに対する次の要求条件を満足することが確認されています。
- 1) 最大伝送速度
- 現行の3.5Gの最大伝送速度がHSDPA/HSUPAの場合、下り14.4Mbps/上り5.7Mbps であることから、BWAシステムの場合、TDD方式で10MHz幅を利用し、かつ空間多重 技術を利用しないと仮定した場合に下り20〜30Mbps/上り10Mbps程度以上の最大伝送速度となること。
- 2) 周波数利用効率
- 現行3.5Gを上回る周波数利用効率として、0.8bps/Hz以上であること。
- 3) モビリティ
- 中速程度以上のモビリティをもつこと。
4.「広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)」の免許方針案について
総務省は、「移動通信利用」と「固定通信利用」について、以下の免許方針案について公表しました。
1) 移動通信利用
- 全国単位で30MHzづつ最大2社に割り当てる。
- 無線設備規則に規定する4つの技術方式を対象とする。(3項の内容)
- 新たな無線サービスの展開と市場の活性化を図るため、第3世代移動通信事業者及びそのグループ会社以外の者に割り当てる。
ただし3分の1以下の出資による事業参加は許容される。 - 仮想移動体通信事業者(MNVO)による無線設備利用計画策定を義務つける。
2) 固定通信利用
- 各地域において10MHzを割り当てる。
- WiMAXや次世代PHSのうち、別途無線設備規則で定めるシステムを対象とする。
- デジタル・デバイトの解消、地域の公共サービスの向上等当該地域の公共の福祉の増進に寄与することを目的とした、市区町村、電気通信事業者を対象者とする。
5.終わりに
冒頭にも書きましたように今秋にも事業者が決定されることから、各通信事業者の動きがすでに活発化しています。通信事業者の合従連衡が始まっており、ソフトバンクとイー・アクセスは共同で研究会を立ち上げる方向性が始まったとの報道記事も見られましたし、アッカ・ネットワークスは広帯域移動無線アクセスシステム
(BWA)への参入を目的とした事業企画会社を7月に設立するとも報道されました。
またPHSサービスを実施しているウィルコムも現行PHSの40倍の通信速度をもつ
「次世代PHS」方式で参入することも有力視されています。
いずれにしても、サービスを受ける側が便利で廉価なサービスメニューが用意され、現行移動通信を含め消費者にとって魅力あるサービスと、デジタル・デバイトの解消や地域の公共サービス向上が実現されることを期待して報告を終わります。
<<参考文献等>>
・総務省報道資料
「広帯域移動無線アクセスシステムの免許方針についての意見募集」
・総務省報道資料
「2.5GHz帯を使用する広帯域移動無線アクセスシステムの技術的条件」
・日経産業新聞報道記事(2007年6月22日)
